第63章毒と救助

彼の手が彼女に届こうとした、その瞬間だった。マークは掌を貫くような鋭い刺痛が走ったのを感じた。

甲高い悲鳴を上げ、手を引き上げる。見ると、銀色の針が掌に突き立っていた。

「な、何をするんです、ライスさん?」彼はどもった。

「近寄らないで!」

アンナの瞳が獰猛な光を帯び、マークは怯えてよろめきながら後ずさった。

「どうしたんだ、これは?」

アンナがエレベーターへ向かうのを見るなり、グレースは慌てて後を追った。

グレースの姿を認めたマークは、救いの神でも見つけたかのように、傷ついた掌を掲げた。「トーマスさん、ライスさんの様子がおかしいんです。具合が悪そうだったから病院に連れて行こうと...

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